【中学2年生からの進路指導①】大学入試制度と教育の変遷①なぜ「大学入試」の話を、中学生の今から?

中学2年生からの進路指導

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なぜ「大学入試」の話を、中学生の今から?

「高校受験もこれからなのに、なぜ大学受験や高校内容の話を?」と思われるかもしれませんが、大学進学率は年々上がっており、東京では77.6%となっています(「リシード」:2025年5月29日記事。2023年度学校基本調査より集計)。この傾向はさらに強まり、同記事では2040年には東京の大学進学率は80%に上ると予測されています。

今の時期から大学入試制度を確認しておくのは、以下の2つの理由があります。

1、高校学習内容や大学進学事情について親子で共通の認識をお持ちいただくこと。

2、「高校合格がゴール」という短期的目線に陥らないようにするため。

まず1ですが、今後将来のことを考えるうえで、親子ともに共通の認識を持っていただいたほうがストレスなく進路相談ができると思うからです。

もちろん、親御さんの体験談は貴重な情報です。しかし保護者の皆さんが経験した受験の「常識」と今のお子様方の「常識」は大きく変わっています。

ではそのあたりを見ていきましょう。

先述の通り現在では私立大学への合格を決める受験生の5割程度が何かしらの「推薦」で、1割程度が「付属高校からの進学」や「特別枠」で決めており、学力試験のみの入試方法で入学するのは4割程度になっています。

かつて推薦入試といえばよっぽど優秀か勉強をあきらめてランクを落とした人が受ける、といった印象があったと思いますが、今は推薦が「当たり前」のようになっています。

では、推薦入試の話は後程行うとして、まずは30年前と現代の大学入試を比較してみましょう。

30年前の大学進学率は40.7%と半分を下回っていました。高卒で社会に出る人も多い時代でした。それが2024年には約6割の高校3年生が大学へ進学しています。東京は77.6%(2023年)と最も高く、大学へ進学するのが一般的な進路となっています。

大学の数も増えています。少子化で子どもの数は減っているので意外に思われるかもしれませんが大学の数は増えており、選ばなければどこにでも入れる「全入時代」などともいわれています。

次に受験方法を見てみましょう。かつては学力試験である一般入試が主流でした。推薦というのはよっぽど優秀か、ランクを下げて受けるものというイメージがあったと思います。

流れが変わったのは90年。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで、欧米で行われていたAO入試が導入されました。アドミッションオフィス入試と呼ばれるもので、大学が求める人物(アドミッションポリシー)に合致する学生を学力試験だけでなく学習意欲や個性などを総合的に判断するものです。現在「総合型選抜」と呼ばれているものです。

一般入試を見てみましょう。2024年にはいろいろと種類が増えています。

まず、1990年度から始まった「大学入試センター試験」が2020年度で終了となっています。これは国公立大学の一次試験に使われるもので、かつて1979年度から1989年度までは「大学共通第一次学力試験」と呼ばれていたものです。

私立大学でも「センター試験利用入試」というものがあり、得点に応じて合格できる仕組みでした。これが2021年度から「大学入学共通テスト」に名称が変わりました。内容が大きく変わったのが2025年度入試からです。

どのように変わったかは後ほどご案内します。

さて、センター試験利用を踏襲する形で私立大学の中には共通テストの点数で合否を判定する「共通テスト利用型」入試を設けているところがあります。かつては国公立の一次試験の役割が大きかった共通テストも、私立入試の方法として定着しています。

そして注目すべきは「検定利用入試」です。主に英検の影響力が強いです。例えば英検2級(高校卒業レベル)を持っていれば当日の学力試験で英語が100点に換算されて試験を受けなくてもいい、という私立大学がかなりの数あります。つまり、例えば文系の私立大学は受験が英語・国語・社会のことが多いですが、英検2級を持っていれば当日国語と社会だけ頑張ればいい。理系なら本来の意受験科目は英語・数学・理科ですが、数学と理科だけ受ければいい、ということです。

英語力を見る指標として、ペーパーテストではリーディング(読む力)とリスニング(聞く力)は測れますが、スピーキング(話す力)やライティング(書く力)のスキルは測ることができません。そこで、読む力、聞く力、話す力、書く力(4技能といいます)を評価できる検定試験で受験生の英語力を判断するという大学が増えているということです。

立教大学では独自の英語の学力試験を廃止し、英検のスコアか共通テストの点数で評価するようにしています。英検のスコアというのは、級の合否だけでなく英語の4技能がどのくらいあるかがスコア(点数)として出るようになっているのです。かつて英検は合格か不合格かでした。したがって級には合格していなくても大学が求めるスコアに届いていれば使う(出願や点数換算)ことができるのです。

大学受験の英語を解くよりはまだ検定のほうが楽、ということで高校2年生あたりから英検2級や準1級の勉強を一生懸命行っている生徒たちをたくさん見てきました。ただ、スピーキングやライティングに自信がないという生徒さんは受験用の勉強を進めてもいいかもしれません。自分の特性に合わせて受験方式を選ぶことができると、前向きにとらえるならそういうことかもしれません。大学受験になぜ「4技能」が求められるようになっているのか、それも後ほど説明します。

あと注目すべきは試験日が複数用意されているということです。また一度の試験で複数の学部に出願できる「全学部入試」も選択肢として増えてきました。

つづいて推薦入試ですが、ここが保護者世代とは大きく異なる点でしょう。先述の通り私立大学の約5割は何らかの推薦で受験生を受け入れています。最近では推薦対策の専門塾も出てきています。

推薦入試は主に以下の通りです。

1、学校選抜型

・指定校制=大学からの推薦枠があり、基準の評定平均(成績表の数値)を満たして学校長の推薦を得ることができれば受験できる、校内選考をクリアすれば当日の面接や小論文などでほぼ確実に合格が決まる。

・公募型制=大学からの推薦枠はない。基準となる評定平均をクリアし学校長の推薦を得ることができれば受験できる。試験は面接や小論文、学力テストを課すところもある。また英検などの検定の基準を設けているところもある。倍率はあるので全員が受かるわけではない。

2、総合型選抜

評定の基準はないことが多い。面接や小論部、学力試験を課すところもある。将来のやりたいことが明確で、その大学で学びたいことが明確であるほうが良い。倍率はあるので全員が受かるわけではない。

2022年のデータから作成しました。資料をご覧いただくとお分かりの通り、有名な私立大学でも一般入試で入学した生徒が半分くらいかそれ以下というのが実情です。

ですからお子様が「推薦」で大学を目指したいと相談に来た時に、現代では割と一般的な選択を考えているのだなと思っていただいて結構です。

では、数ある推薦入試の中でどれを優先して考えておくべきか、ということですが、これはお子様によって向き・不向きがあるのですが、できれば「学校選抜型」で入学できるように準備をしておくことが理想ではあります。行きたい大学の学部で指定校枠があれば、大学が指定する評定を取り、学校長の推薦をもらうことができれば倍率は限りなく1倍に近く、年内に入試が終わって気持ちよくお正月を過ごすことができます。

では、そのために何が必要か。

実はここからが注意が必要で、学校選抜型を狙うのであれば、「高校1年生のうちから」頑張っておく必要があるのです。ここが東京都や神奈川県の高校入試と異なるところです。東京都の高校入試は、高校に持っていかれる成績(内申)は3年生の2学期だけです。神奈川県は2年生の後期と3年生の後期(仮内申。それを2倍する)が必要です。これが大学受験でも同じだと思ってしまうと大変です。いざ高校3年生になったときに選択肢が限りなく狭くなっている危険があるからです。

例えてみましょう。

ある大学の学部の評定平均基準値が4.2の場合。

「3年間の平均」ということなので、4.2×3=12.6

高1で4.8取れれば12.6-4.8=7.8

つまり高2高3で3.9ずつ取ればOK

 

しかし仮に高1で3だったら・・・、

12.6-3=9.6

すなわち高2高3で4.8ずつ取ればOKです。

・・・、いや、全然OKではないですね。当然学校の内容は2年、3年と上がっていく度に難しくなりますし、自分より評定が高い人が立候補したら問答無用でそちらになってしまいます。

こういった情報を早めに身に着け、「高校入学」をゴールだと思って気を抜かないよう注意しましょう。

ここまでは大学入試制度について、親子で共通の認識を持っていただきたいことをお伝えしました。大学入試に関する詳細はまだまだありますが、いったん中学生に知っておいてほしい情報としてここまでにしておきます。

さて、では、「なぜ大学入試の話を中学生の今から?」という問いへの回答の2番目、「「高校合格がゴール」という短期的目線に陥らないようにするため」についてお話していきましょう。

次回は8月2日更新予定です。

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