個人的にファンである「コテンラジオ」。
2~3年前に知り、現在でも放送日には必ず聞いていますし、興味のある分野はメモを取りながらリピートしています。私の知の源泉の一つとなっているサイトです。賞与などに余裕があるときには一部を寄付しています。
コテンラジオの説明
「歴史を愛し、歴史を知りすぎてしまった歴史GEEK2人と圧倒的歴史弱者がお届けする歴史インターネットラジオ。
学校の授業では中々学べない国内外の歴史の面白さを学び、「人間とは何か」「現代人の抱える悩み」「世の中の流れ」を痛快に読み解いていく!?
笑いあり、涙ありの新感覚・歴史キュレーションプログラム!」(HPより)
株式会社COTEN代表の深井龍之介さん、COTEN広報の楊睿之(ようえいし)さんが歴史を語り、「歴史弱者」代表としてリスナー目線で聞き手、質問する樋口聖典(よしのり)さんが繰り広げる番組です。
世界史を中心に出来事や人物をテーマに掘り下げていく構成になっています。
歴史の勉強になるのはもちろんのこと、そのできごとや人物を通して考えたこと、感じたこと、現代の社会、生活に行かせることなどを考察していく最後のまとめが本当に知的。個人的には「もっと伸びていい」YouTubeチャンネルです。
さて、1月8日からスタートした2026年放送第1回は、実験寺院 寶幢寺(ほうどうじ)の松波龍源さんをお迎えして仏教哲学を学ぶ回。コテンラジオはビジネスパーソンを対象にしている番組ですが、これはどの属性の方にも聞いてほしいと感じたお話でした。
よりよく生きるために、何かのヒントになることでしょう。
そもそも私も仏教の考え方は好きでこのサイトでも以前シリーズ化したことがありました(教養としての宗教学)が、やはりお坊さんのお話は比べ物にならないくらいわかりやすい(当たり前(笑))。
私が下手な解説をするより、ぜひコテンラジオを聞いてほしいと思ったのでこちらで紹介します。
「仏教のこと、龍源さんに聞こう①|仏教の輪郭をつかむ(全体像)【番外編#131】」
こちらが動画のタイトルになります。
コテンラジオは基本的に毎週月曜日と木曜日に更新されていますので、ぜひ続きも聞いてください。
この動画はこんな読者におすすめです。
✔ 仏教について知識を深めたい人
✔ 日常生活と宗教・哲学の関係を考えたい人
✔ 哲学的な問いかけが好きな人
✔ 普段は学び系・教養系動画を楽しむ人
この動画では、仏教とは何か?という根本的な問いを、龍源さんとコテンラジオメンバー(深井さん、楊さん、樋口さん)の対話を通じて丁寧に解説しています。仏教に詳しくない人でも理解しやすく、現代の生活にも通じるヒントが満載です。
インタビュー形式のため飽きずに視聴でき、初心者から上級者まで幅広い方におすすめの内容です!ぜひ最後までご覧ください。
動画のここが面白かった!おすすめポイント
① 仏教を体系的に説明してくれているところ
私自身いろいろな思想・哲学・宗教を学んでいく中で、仏教的な考え方が人生における悩みへの回答としてはしっくりくるなあと感じたことがありました。
個人的には仏教の「空」の思想と西洋の論理療法の相性がいいのではないかと思い、それをうまく組み合わせるカウンセリング理論なんかがあったら面白いかなと思っていました。そのことは以前のブログで書いた通りです。(【教養としての宗教学14】仏教の「呪術的」「神話的」側面(仏像、あの世、生まれ変わりなど))
しかし、今回の放送を聞いて自分があまりにも仏教を理解していなかったと感じました。やはり解説はプロにお任せしたほうがよさそうです。
<仏教は「3+1」>
まず仏教の考え方ですが、龍源さんは「3+1」という表現を使われています。
プラス1というのはお釈迦様が説かれた教え、いわゆる原始仏教といわれるものです。
サンスクリット語で「ブッダ・バーダー」。ブッダとは「悟った人」、ダーバーとは「悟った人が語った言葉」。ブッダは人々に教えるために言葉を使った、したがって「仏教」という訳はいい訳だそうです。
大事なのは「バーダー」である語り手。釈迦が語ったので、ここがすべての仏教のソースになります。
しかし釈迦も人間である以上は亡くなります。釈迦亡き後、釈迦の言葉が残された経典(お経)の解釈に困ったり、経典に書かれていない事態に直面して困ったりすることがあります。そういう人たちが、修行を納めた人(上座(じょうざ・高い地位)に座った長老たち)を頼ります。
そこから先、釈迦の直接の教えではないことを龍源さんは「3」と表現しましたが、
①その長老たちの教え、解釈。それをサンスクリット語でテーラー・バーダー(長老たちの言葉)。これらがタイやミャンマーなど東南アジアに伝わった仏教(テーラー・バーダー・ブッディズム)です。語り手が釈迦ではないので、この時点でブッダ・バーダーとは異なることになります。
②時代が下ると、長老たちの教えは僧院にいて身分が保証され、修行に専念できる人の教えであり、そのほかの人々にとっては役に立たないのでは? という問題が出てきます。
特殊条件にいる人だけに当てはまる教えではないよね、という考えが広まり、これが「マハー・ヤーナ」といわれます。
マハーとは「偉大な」、マーヤーは「乗り物」。つまり、自分たちはあらゆるものを乗せて海を渡れる偉大な乗り物なのだ、とした考え方が出てきます。これがいわゆる「大乗」です。
④大乗の考えをより実践的に、体を使って悟りをインストールしよう、社会に使いこなして実践していこう、という考えが出てきます。これが「密教」です。
なぜ秘「密」の密なのか?
身体的に悟りを得ようとしたら、個人差が出てきます。ある人にとってはいいやり方であっても、あなたには違うやり方が合うかもしれない、ということは往々にしてあります。そこで、普遍化されない教え、ということで「蜜」の字があてられたそうです。
② 「悟り」とは何かの具体例
まずは仏教に①釈迦の教え、②上座部、③大乗、④密教と4パターンに分かれることを確認しました。
そのうえで、仏教の目的は何かという問いに移ります。結論としては「悟りを開くこと」。
では具体的には?
ここでも、「悟り」とよく似た3つの言葉を用いて説明してくれます。
すなわち、「悟り」「解脱」「涅槃」「成仏」。
龍源さんは「崖を上ること」に例えて説明します。
「悟り」=崖を上る力を得ること。
「解脱」=崖を実際に上ること。
「涅槃」=崖を上りきること。
「成仏」=まだ崖を上れていない人に崖を上る力を与えること。
ここでポイントなのは、人々を崖の上に引っ張り上げることではないということ。あくまでも自分で登るための力を与えるまで。
日常の悩みをどうすればいいのか、を仏教的に考えるとき、まずはどの立場を「仏教」と認識するかで話が変わってくるのです。
②の上座部の考えであれば「涅槃」=自分が崖のぼりを完遂させることを目的としますし、③大乗、④密教の思想でいえば人を導くこと。
当然アドバイスも異なってきます。
仏教をこのように整理するという発想がなかったので非常に勉強になりました。もちろんこれは龍源さんなりの考え方であり、学説的な批判はあるかもしれません。ただ、私としては非常に腹落ちした考え方でした。
ちなみに私が教科書的に理解していたのは以下の通り。
● 「悟り」
世界の見え方が根本から変わる瞬間。
「気づき」に近いもの。
特に、縁起や因果応報の考え方、自分と他者の間にそれほど違いはないのかと思った時、「これが悟りかな」と感じました。
言葉遊びかもしれませんが、「さとり」=「差 取り」で、自分と他人の差を取ること。自分がやられて嫌なことはしない、他人の幸せや不幸を自分事として捉えることができる、それが悟りだと考えていました。そうすれば自分への執着がなくなり、心穏やかにいられる。
教科書的な仏教用語でいえば「諸法無我」から「涅槃寂静」の境地。
儒教なら「謙」=彼を先にし、我を後にする心。
キリスト教なら「隣人愛」=神のもとでは平等なのだから他人を大事にしなさい。
イスラームなら「喜捨」=財産をなせたのはアッラーの恵みによるものだから同様に帰依する者たちに分け与える。
と学問的に理解していました。
その他の「解脱」「涅槃」「成仏」については考えが至らなかったため、今回の動画は大変勉強になりました。
③ 仏教的「苦」と「楽」
釈迦の伝えた教えは「苦からの解放」。
釈迦の人間観としては、
「あらゆる生きとし生けるものたちは、苦から逃れ、楽を得ようとする性質を持っている」
でした。
では「苦」とは?
「望み、欲したことが叶えられない、得られないことによる心理作用」
小さなことでも大きなことでも「苦」を感じる種があるのだと。「お腹がすいたけど仕事でご飯を食べられない」も苦だし、「生きている意味が分からない」も苦。すべての物事が「苦」になる種を持っているということで、「一切皆苦」といっています。
欲があるのは仕方ないが、それが「完成」されることは避けよう、というのが釈迦の提案です。「苦の完成」は「絶望」を生むから。絶望が極まれば「暴力」になる。暴力が自分に向かえば鬱や自死になり、外側に向かえば盗みや殺人、テロにつながる。絶望しないように苦から逃れましょう、というのが釈迦の教えです。
逆に「楽」はバリエーションが様々あります。満腹、遊び、金銭など人それぞれ。それを得るために、というのは人の数だけあって大変なので、楽を妨げるもの、すなわち苦を取り除くことにフォーカスするのが仏教です。
自ら苦を除き楽を得ることを「離苦得楽」、人の苦しみを取り除き楽を与えることを「抜苦与楽」といい、その状態が一致したことを「慈悲」といいます。
慈とは楽を与えること、悲とは苦しみを取ることです。
このような前提条件を話していただいたのが今回です。
次回以降は具体的な仏教の変遷と人生を仏教哲学でよりよく生きる方法を伝えてくれるものと思います。
ぜひ、ご覧ください。
