自己アセスメントの手順を確認します
1、身体的な疾患、加齢を考える
2、精神的な疾患を確認する
3、心の問題を確認する
4、生活環境を考える
5、ライフステージの発達課題を考える
6、自我機能から考える
まずは身体的な異常がないかを確認しましょうということを前回お伝えしました。
病気でなくても、睡眠や食事、余暇は充実していますか? 肉体的な疲労が精神をむしばむことはよくあることです。
<2、精神的な疾患を確認する>
身体に異常がなければ、次に確認してほしいのは精神疾患があるかどうかです。
統合失調症、双極性障害、うつ病などです。
これらは薬物治療が有効な方法となります。薬の服用によってまずは精神や身体を安定させることが先決で、心の問題と向き合うのは精神と身体の健康を取り戻してからです。
<抑うつ障害(うつ病)>
・うつ病
感情面や思考力、活動力、体力、体調、睡眠や食欲など様々な面で障害を伴う現象です。
・うつ病の主な症状
〇精神症状
感情の障害(「気分が重い」「気分が沈む」「泣きたくなる」「寂しい」「いらいらする」「ちょっとしたことで不安になる」「生きている実感がない」など)
興味・関心の低下(「今まで楽しかったことが楽しいと感じられない」)
作業効率の低下
頭が働いていない(「考えるのが面倒くさい」「以前できていたことをするのにも時間がかかる」「ミスが増える」など)
何をするにもおっくう
社会的関心の低下(人と会うこと、しゃべることがおっくう)
自責感、無価値観
思考力の低下
新しい情報の処理が難しい(テレビや音楽が煩わしい)
集中できない
過去の些細な出来事を思い出して悩む
心配事が頭から離れず堂々巡りをしている
被害妄想
物事を悪い方向に考えてしまう
根拠もなく自分を責める
自分など価値がない人間だと思う
自分だけが取り残されている感じがする
自分なんかどうでもいい
消えてなくなりたい
苦しみから解放されたい
生きていても仕方がない
生きていることが辛い
もう終わりにしたい
〇身体症状
寝付けない、途中で何度も目が覚める、朝早くに目が覚めてしまう
眠りすぎてしまう、起きられない
食欲低下、食事がつまらない、おいしくない
食べ過ぎる時期が続く
体重の増減(1カ月で5~10Kg)
疲労感(全身がだるい、疲れやすい、疲れが取れない)
身体の痛み(頭痛、腰痛、関節痛など)
微熱
肌荒れ
便秘
下痢
頻尿
性欲低下
飲酒量の増加
など
これらが2週間以上続く場合は危険信号と思ってください。
・どうして起こるの?
〇生物学的要因
脳内の神経と神経をつなぐセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった気分に関係する神経伝達物質(モノアミン)の低下により、神経の伝達が低下し抑うつ症状が現れるという説があります。現在使用されている抗うつ薬の多くはこの仮説を元に開発されていますが、うつ病の原因が特定されているわけではありません。
心理的なストレスによって不満や怒り、嫌悪、悲哀などの負の感情が続くことでも脳内の神経伝達物質の生産が減り、脳内にストレス物質が分泌されます。心理的ストレスが続く場合、神経伝達物質の低下や神経細胞の新生が滞り、神経細胞の脱落や記憶をつかさどる容量の減少といった生理的変化に至る場合があります。
神経伝達細胞の機能低下が様々な影響をもたらします。例えばノルアドレナリンが低下すると意欲が落ち、ドーパミンが低下すると興味や喜びが薄くなります。
これらが「何をするにもおっくうに感じる」「今まで楽しめていたことが楽しめない」といった抑うつ症状となって現れます。
また遺伝的要素も関連していることが分かっています。
〇環境要因
大切な人との死別、離別、仕事上の大きな失敗や失職などはうつ病の誘因となる場合があります。逆に昇進や結婚、出産などポジティブな変化もうつ病のリスクを高める場合があります。
〇性格要因
うつ病になりやすい傾向として「メランコリー親和型性格」がいわれています。
秩序を重んじる、他人に気を遣う、頼まれると否定できない、まじめ、責任感が強い、仕事熱心、過度に良心的、小心、消極的、保守的などが挙げられます。
・「適応障害」との違い
うつ病によく似た症状として「適応障害」が挙げられます。
適応障害の場合は、ストレスの原因がはっきりしている場合が多く、その場から離れると症状が改善する場合が多くあります。
例えば職場で抑うつ的な気分が続いたとしても帰りの電車や家では普通、などの場合は職場に「適応」できていないと考えられます。目安としてストレスの始まりから3カ月以内に症状が発症し、そのストレスがなくなれば症状は6カ月以内に治まります。
職場で休職のために提出される診断書としては比較的多い症状です。いまだにうつ病に対する社会的偏見は多くありますし、ストレスが原因で誰でもなりうるというニュアンスが込められているため適応障害の診断が多用されることがあります。ただし、前述のように適応障害には「原因」と「期限」がありますので、不調が続くようであればうつ病やパーソナリティ障害(後述)を疑う必要もあるでしょう。
・治療方法は?
薬物治療、精神療法、またはその両方を行うのが代表的な治療方法です。
重度のうつ病は起き上がれないなどの身体的な症状が辛いですので、まずは薬物治療により心身を回復させることが重要です。
うつ病の回復は良い状態と悪い状態を繰り返しながら徐々に回復していくので、数週間から数カ月の長い目で見ていくことが重要です。
診断された場合はまず治療に専念することが重要です。
気持ちの整え方、考え方の習得などは治療が終わるかある程度落ち着いてから行いましょう。
次回は3月9日更新予定です。
<本コーナーの対象と目的>
このコーナーでは、心身の不調を感じている方が自身の状態をセルフチェックするための手法をお伝えします。これからお話するのは、これまでごく一般的に(「一般的」の定義も難しいですが)生活してきたが心身の不調を感じている、18歳以上の成人の方を対象とします。
その方々が自身の不調の原因を自分で探るための心理学的な知識、自分と向き合い心を軽くするためのキャリア理論、心理学的な理論などをお伝えし、「自助」ができる手段を示すことが目的です。
あくまでも環境や役割の変化をきっかけに心身に不調をきたしている方が、自分でその原因や状態を分析する「自己アセスメント」の手法と、理論や考え方を身に付けて心身の不調と向き合うための「自助」をアシストすることを目的としますので身体的、精神的疾患が疑われる場合は必ず医療機関を受診してください。


コメント