前回は自我機能から心身不調の原因を考えてみました。その中でフロイトの「心の構造論」を学び、「防衛機制」についても触れました。今回は防衛機制の種類を見ていきましょう。
<防衛機制の分類と種類>
防衛機制とは簡単にいうと、個人が「こうありたい」「こうなりたい」と思いながら外界からのストレス(厳しい親や世間体など)にさらされたときに、心を守るために起こす行為ですが、良い防衛機制と問題のある防衛機制があります。
・良い防衛機制=以下にお話しする防衛機制が使えている状態は、メンタルも良好。
・神経症的防衛機制=以下にお話しする防衛機制を頻繁に使ったり柔軟性を失ったりしている場合はメンタルヘルスの問題が出てくる可能性があります。
・未熟な防衛機制=パーソナリティ障害の診断基準に見られるものが含まれますので注意が必要です。
・精神病的防衛機制=精神病発症の疑いがある行為。
・良い防衛機制=成熟した防衛機制
「抑制」=苦痛な感情や記憶を意識の外に追い出すことです。
例えば会社で上司に理不尽な要求を突き付けられたことで上司に対して怒りや嫌悪を感じても、仕事を進めるためには普段通り接しなければなりません。上司に対する負の感情を意識の外に押し出してふるまうことで、いわゆる「大人の対応」といわれるようなものです。
「愛他主義」=自分では満たすことのできなかった欲求を、他者が満たすために献身的に尽くすこと。
例えば親を亡くし進学をあきらめた人が、大人になってから支援団体などに寄付をして遺児を支えるなど。「自分と同じ苦労をさせたくない」という想いが強い方です。
「ユーモア」=苦境を笑いに変えて発散、解放すること。
例えば自分の失敗を自虐ネタとしてさわやかに笑い飛ばすことができる方は「大人だなあ」と感じます。
「昇華」=満たされなかった欲求を社会的で価値のある行動へ転じたり別のより高い目標を達成したりして満たすこと。
例えば運動部でレギュラーになれなかった学生が勉学に打ち込んで偏差値の高い学校に進学する。しかもそれを鼻にかけないとさらに素晴らしいですね。
「予期」=将来生じる恐れのある不安に対する現実的な予期、それに対処するための計画を立てる。
例えば顧客との仮契約がキャンセルになる可能性を考え、その際は別の顧客へアプローチすることを考えておくこと。
不安はあっていいのです。その不安が慎重さを生み、失敗を防いでくれるからです。以前外資系のマーケティング会社にいたとき、「ポジティブシンキング」という言葉を嫌う上司がいました。「なんでもいいように解釈するのはかえって危ない。危機を予測したり危機を危機と認識したりして常に対策を考える「ネガティブシンキング」の方がよっぽど信頼できる」ということでしたが、一理あるなと思いました。
上記の防衛機制は成熟したメンタルがあるからできることです。
次回は、注意したい防衛機制について考えてまいりましょう。
次回は4月13日更新予定です。
<本コーナーの対象と目的>
このコーナーでは、心身の不調を感じている方が自身の状態をセルフチェックするための手法をお伝えします。これからお話するのは、これまでごく一般的に(「一般的」の定義も難しいですが)生活してきたが心身の不調を感じている、18歳以上の成人の方を対象とします。
その方々が自身の不調の原因を自分で探るための心理学的な知識、自分と向き合い心を軽くするためのキャリア理論、心理学的な理論などをお伝えし、「自助」ができる手段を示すことが目的です。
あくまでも環境や役割の変化をきっかけに心身に不調をきたしている方が、自分でその原因や状態を分析する「自己アセスメント」の手法と、理論や考え方を身に付けて心身の不調と向き合うための「自助」をアシストすることを目的としますので身体的、精神的疾患が疑われる場合は必ず医療機関を受診してください。


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