【教養としての宗教学⑧】イスラム教が生まれた「文脈」

教養としての宗教学

今回はイスラームを取り上げますが、重要なことはなぜイスラム教が誕生したのかという「文脈」です。これは決して西暦600年頃にいきなり何の背景もなく誕生した宗教ではありません。

ユダヤ教、キリスト教があってのイスラム教であるということ。

それらの宗教とイスラム教とはどのような関係があるのか、これをご一緒に考えていきたいと思います。

 

よくある誤解

・「アッラー」という名の神を信仰する宗教 → ×

「アッラー」というのはアラビア語で「神」という普通名詞です。

したがってイスラム教が信仰する神は旧約聖書で言うところの「アブラハムの神」、新約聖書で言うところの「父なる神」「the God」です。

 

・ムハンマドが教祖様? → ×

「イスラーム」とはアラビア語で「神に委ねる」といった意味。

神への絶対的な信仰、服従の精神を取り戻すために、ムハンマドは神から言葉を預かった「預言者」です。

〇イスラーム教誕生の背景

イスラム教が誕生した経緯を見ていきましょう。まずイスラム教を始めたのはムハンマドという人です。アラビア半島のメッカというところで西暦570年頃に生まれたといわれています。優秀な商人でしたが、40歳の時に神からの啓示を受けて、イスラム教の教えを確立していきます。

イスラームという言葉はアラビア語で「すべてを神に委ねる」という意味があります。

一言で言えば、アブラハム契約への回帰です。旧約聖書に出てくる神様とアブラハムの契約、すなわち神への絶対的信頼。それを取り戻そうという動きです。

ユダヤ人たちは神との契約を度々破ってしまい、さんざんな目に合います。その反動で今度は厳格な律法にこだわるようになります。いつの間にか律法学者が威張ったり、律法の解説書が聖書より重んじられたり、ユダヤ人だけが救われるという考えが生まれたり、本来の神との関係ではなくなってきてしまいました。

そこに現れたのがイエスでした。イエスは、重要な教えとは、神を愛することと隣人愛の実践であると訴えます。しかしイエスの死後、イエスを神格化した弟子たちによってキリスト教が作られ、イエスもまた神として信仰の対象となったり、立派な教会が作られたりしました。イエス像や天使像への偶像崇拝が始まります。

ユダヤ教、キリスト教は、聖書や預言者を与えられていながら、神の教えを正しく広めていないじゃないかということで、いよいよイスラームの世界観が誕生することになります。

 

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