【小説・サクラサクまで14】中3生向け入試説明会1 2025年度の東京都高校入試

小説・サクラサクまで

2024年10月5日(土)。

午後2時の「旬学舎」には中学3年生とその保護者40名弱が集まっていた。土曜日を利用して中学3年生向けの入試説明会が開かれていた。

高校入試までおよそ5か月というこの時期に、改めて今後の学習方針と入試に向けた心構えを生徒、保護者ともに共有しておきたいという緑川妙恵塾長の発案であった。

福永英二教室長が作成した手元の資料の表紙にはこうある。

「アジェンダ

・受験までのスケジュール

・都立入試制度のおさらい

・都立入試問題の傾向と対策

・その他受験に関しての留意点」

「目次」と書けばいいところをアジェンダなどとカッコつけているところがいかにも外資系で働いていた彼らしい。まだどこかに企業戦士として活躍(?)していたプライドが捨てきれていないところがあるのかもしれない。

定刻になったことを教室の時計で確認した福永は声を発した。

「本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。受験まで半年を切りましたので改めて今後の学習について皆さんと共有させていただきたいと思います」

生徒、保護者ともに真剣なまなざしを向ける。2学期中間テストが9月に終了し、少しずつ受験の緊張感を感じ始めていた。

「受験まで5カ月と言うと「まだまだ」という気持ちになってしまうと思いますので、私はこういう言い方をして子どもたちに緊張感を持たせます。5か月、つまりあと20週間だぞと。サザエさん20回見たら入試本番です」

生徒たちが「イヤだ~、何その数え方!」と悲鳴を上げ、それを見て保護者が笑う。少し緊張がほぐれたところで福永は話し始めた。

「ではまず、受験までの取り組みを塾長の吉祥寺妙恵よりご案内いたします」

前に立った妙恵はきれいにお辞儀をして場の空気を作った。

痩せてはいるが長身の妙恵は人前に立つと不思議な魅力で聴衆を引き付ける。整った顔立ちをナチュラルメークで引き立たせ、天性の澄んだ瞳で凛とたたずむその姿は「会いに行けるアイドル」のような親しみやすいルックスでありながらも舞台女優のような貫禄を醸し出していた。上下ネイビーブルーのパンツスーツ、ワインレッドのハイネックブラウスのインナーを着こなす二十歳はそういるものではない。

「それでは私の方から、これから受験までの流れを確認させていただきます」

妙恵の独特な上品なガラス細工のような声が響き渡ると、生徒、保護者が一斉にノートを取り出した。

遠いスケジュールから確認していきますね。

2025年3月3日(月)が都立一般入試の合格発表日となります。新たな高校生活に向けて頑張りましょう。

2025年2月21日(金)が都立一般入試日。合格発表まで10日くらいあり落ち着かないと思いますが、どちらにしろ皆さんは高校生にはなれるわけですから、ここから先は高校に向けた予習を進めていきます。後ほど福永から説明があると思いますが、決して「高校入学」をゴールにしないように。就活の時に見られる学歴はたいていが大学です。大学受験は高1からの動きで決まる部分がけっこうありますので、そのあたりも今後説明していきますね。

高校卒業後は専門学校を目指すという生徒さんも、成績優秀なら授業料免除などの特典もあります。就職する場合も成績のいい順に希望の会社に応募できます。つまり、どの進路に進むにしても高校に入ってからの学習がとても大事ということです。

2025年2月10日前後に私立高校の一般入試があります。ここで都立の併願優遇のテストも行われます。

2025年1月31日(金)が都立推薦入試の合格発表試験日は1月26日(日)、27日(月)です。

2025年1月22日前後に私立単願推薦入試。第一志望を私立で考えている生徒さんはここで進路が決まります。都立一般で決まる子たちよりも1か月くらい早いです。決まってもまだ大半の子は受験勉強が続いていますので周りに気を使ってあげてください。また、当塾では早く決まった利点を生かして高校の予習を始めます。これは某私立高校の塾向けの入試説明会に行った時に言われたのですが、「単願で決まっても塾は辞めさせないでください」とのことでした。やはりどうしても一般で入った子や最後まで都立に向けて頑張っていたけど併願で入ってきた子と、単願で入ってきた子の学力差があるということでした。高校の授業は一斉に進みますので、ここでの学力差を埋めておいてほしいというのが高校側の要望なのでしょう。

今年の12月、冬期講習は23日(月)から開始しますよ。

11月の後半から12月2週目あたりまで学校の三者面談が行われます。担任の先生と生徒さんと保護者様で面談が行われます。そこで第一志望の確認、併願優遇校(いわゆるすべり止め)の確認が行われます。

この面談までに決めておいていただきたいことが3つあります。

1つ目は併願校で、これはマストです。期末テストの結果を受けて内申が知らされる(仮内申)はずですので、現状の成績で行けるところ、上がった場合、下がった場合で考えておいてください。

2つ目は都立の推薦を受けるかどうか、これもマスト。都立の推薦入試の倍率はだいたい3倍ということで、合格する方が難しいです。基準となる内申をクリアしていても、です。したがって対策にはそれなりの時間をかける必要がありますので、もし迷うくらいなら一般入試に全振りしてください。ただし、どうしても行きたい高校で、内申も足りていてチャレンジしたいということであればチャレンジしましょう。学校の先生も推薦の大変さは分かっていますのでよほどのことがない限り推薦入試を勧めてはこないでしょう。そこで、志望している場合は12月の三者面談で担任の先生に伝えてください。

3つ目が都立志望の場合の第一志望。こちらは必ずしもマストではありません。この時点ではまだ仮でも結構です。最終的には願書提出日でいいわけですから。

11月24日(日)、スピーキングテスト、いわゆる「ESAT-J YEAR3」が行われます。夏の間から当塾では先生方との対話を通して訓練してまいりました。

11月20日(水)から3日間期末テストが行われます。このテストの結果で内申点が決まりますので、まずはこの1か月、期末に向けて集中することになります。

続いて模試について、年末年始の塾の開校日時について、といった事務的な連絡が続いた。

生徒、保護者は一言一句聞き漏らさないように集中して聞いていた。

「では、ここで改めて東京都の高校入試についておさらいしておきますね」

 

<続く>

次回は10月22日更新予定です。

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