「では、ここからは都立の入試問題の傾向と対策をお伝えします」
妙恵の言葉が終わるか終わらないうちに福永がプリントを配布していく。都立入試の解答用紙である。
まずは国語です。

(東京都教育委員会HPより)
大問は全部で5つ。
大問1が漢字の読みで5問、大問2が漢字の書きで5問、それぞれ1問2点です。漢字の読み書きだけで20点分がここで取れます。だいたい漢検4級から3級レベルの問題が出題されますので、漢検の問題集を使って勉強するのが良いと思います。もちろんその際は読み書きだけです。漢検は音読みや訓読み、四字熟語などありますがそういった知識は都立入試には問われません。また、過去15年分ほど入試問題を遡って出題漢字を調べました。

こちらを見ると、過去に出題された問題が重複して出されているのが分かります。今年(2024年度)の入試では10問中4問が過去にも出題されたものでした。あくまでも気休め程度にはなりますが、一度出題されたものは読み書きできるようにしておくとよいかもしれません。こちらは本日お土産としてお持ち帰りください。まずは漢字の読み書きで20点をしっかり取りましょう。(妙恵の言葉を受けて福永がマル秘資料を生徒に配っていく。)
大問3は物語文です。これまでは比較的中学生が主人公のものが多かったのですが、最近ですと高校生や大人が主人公の物語も出題されています。少し想像力が必要かもしれません。
大問4は論説です。事実と意見をしっかりと切り分けて論理的に判断すること。また200字作文がここで出されます。「本文を読んで、〇〇についてあなたが発表するとしたら?」という問いが多く出ます。普段の国語の授業から、扱った文章に対する感想や意見を書いておくと良いでしょう。また冬期講習の授業では、扱った文章の要約を必ず行うようにしてもらいます。
大問5は古文。正確には古文を題材にした現代文、といったほうがいいかもしれません。現代語訳が載っているので古文を訳させるような問題は出ませんが基本的な文法の知識を問われる問題が1問あります。
各1問5点、作文が10点満点になります。他の道府県の公立高校の入試問題と比べて東京都は文章量が多いので、いかに早く読むかがポイントになります。授業では時間を意識しながら解いて訓練していきます。
近年の平均点の数位は以下の通りです。
2024年度 75.9点
2023年度 80.8点
2022年度 68.8点
2021年度 72.5点
2020年度 81.1点
都立一般入試の1教科あたりの平均点が6割程度と考えると、比較的高い水準になっています。
読解で差が付けられないのが実情かもしれません。逆に言えば、国語でしっかり点数を取れるように準備をしておきましょう。
次に数学です。

(東京都教育委員会HPより)
配点は証明問題が7点×2題、作図問題が6点×1題。あとは1問5点です。
大問1が計算、資料、確率、角度、作図の基本問題
大問2が文字式や規則性の応用
大問3が関数
大問4が平面図形
大問5が空間図形
となっています。
大問1は比較的基本問題が多いのでここで確実に点数を取るようにしましょう。計算が完璧にできれば30点、その他データおよび確率、作図が正解することができれば46点取れます。つまり、基礎がしっかり整っていれば半分近くは取れるということです。
受験はある程度「戦略」が必要になりますので、入試に必要な1教科あたりの点数を一人ひとり考えて臨みます。例えば当日500点中325点取らなければいけない生徒さんの場合、平均すると1教科あたり65です。しかしその生徒さんが英語と社会が得意だった場合、目標点を英語と社会で80点、国語75点とすると、数学と理科で45点ずつ取ればいいことになります。その場合、正答率も低く取れるか取れないか分からない大問4とか大問5を一生懸命練習するよりは、大問1を確実に得点できるように訓練します。簡単な大問1の計算問題が解けても5点、難しい大問5の問題が解けても5点ですから。ただし、本当にできない問題だったのかのジャッジは必要になります。1問でも多くとってほしいですからね。その部分をしっかりフォローしていきます。
例えば先日2024年度の過去問を数学が苦手な生徒が解きましたが、大問1以外は端から諦めていました。しかし大問2の問1は数えれば、大問3の問1、大問2も落ち着いて考えれば解けた基礎的な問題でした。つまりその子は61点取る実力があったのです。しかし、自分では解ける問題なのかそうでないのかが判断できません。そこで我々は、生徒さんの目標に応じた指導と、プラスアルファ伸ばせる問題のジャッジとレクチャーを行ってまいりますのでご安心ください。こればかりは個別での指導が必要になりますので、受験期はぜひプラス5万円の質問し放題コースを付けてください。っていうちょっとした営業でした(笑)。
近年の平均点の推移は以下の通りです。
2024年度 61.7点
2023年度 57.6点
2022年度 59.0点
2021年度 53.3点
2020年度 61.1点
続いて英語です。

(東京都教育委員会HPより)
大問は4つ。
大問1はリスニングで20点、
大問2は短文や資料の読み取り、英作文
大問3が対話文
大問4が長文となります。
国語同様他の道府県の公立高校の問題と比べて文量が多いので少しずつ長文慣れをしていきましょう。まずは単語の習得は受験当日まで継続です。単語帳はボロボロになるまで見返してもらいます。
授業では大問ごとのトレーニングをしていきます。
前から訳して読解スピードを上げていきます。
時間内に読む、訳、単語、熟語、文法を確認していく。そして本文の音読、解き直しと進めていきます。
人にもよりますが大問3の対話文が一番取り掛かりやすいという場合もあります。セリフが続いていくので読みやすいのです。その場合はリスニング後に大問3を行ってもかまいません。
こういった問題を解く順番をその子の個性に合わせて考えていくのも「戦略」ですので、冬の間はぜひ、個別対応ができるプラス5万円の質問し放題コースを付けてください。っていう2度目の営業でした(笑)。
大問2は英語で時間や距離やスケジュールを考える訓練が必要です。英語力だけでなく文章を理解し、考える力が必要になりますので訓練を重ねていきます。
大問4は長文。先述の通り語順を意識して「前から訳して」テンポよく読んでいく力が求められます。家庭学習では長文読解の問題を音読するよう指示しています。文章のリズムが身に付きますし、リスニングの対策にもつながります。自分で発音できない単語は聞き取ることができないからです。
リスニングは基本的に自宅学習となりますが、放送原稿を目で追いながら聞くなど、テクニックがありますのでそれは一人ひとりにお伝えしますね。
参考までに近年の平均点は以下の通りです。
2024年度 66.9点
2023年度 62.8点
2022年度 61.1点
2021年度 54.1点
2020年度 54.7点
最近易化傾向にありますので、来年あたり難しくなるかもしれません。
次に社会です。

(東京都教育委員会HPより)
大問は6つ。
大問1は地理、歴史、公民の基本問題15点程度
大問2は世界地理15点
大問3は日本地理15点
大問4は歴史20点程度
大問5は公民20点程度
大問6は複合問題15点程度
答案用紙をご覧になってお分かりになる通り「完全回答」を求める問題が半分程度を占めているので注意が必要です。完全回答とは、例えば地図の場所のある地点の「雨温図と特産物」両方答えられなければ、また歴史の順番を正確に記さないと×になってしまうような問題です。どれか一つが正解でも、与えられた条件すべてが合っていないと〇にならない、という出題形式です。曖昧な知識では正解にならない難しさがあります。これはなかなかのプレッシャーですね。特に歴史は、「次のア~エの記載を年代順に並べよ」というような問題が出ますので、正確な知識をインプットしておく必要があります。授業で問題演習を行ったら「解き直しノート」をしっかり作成し、どのような角度から問われても答えられるように知識を定着、そして広げていくことを指示していきます。
また単なる暗記問題ではなく、資料を読みながら考える力が求められています。
近年の平均点は以下の通りです。
2024年度 55.5点
2023年度 55.6点
2022年度 49.2点
2021年度 54.6点
2020年度 57.0点
平均点が60点を超えていないところを見てもしっかりと知識を身に付け、問題形式に慣れていないと得点しづらい科目といえるでしょう。
最後に理科です。

(東京都教育委員会HPより)
理科は単元ごとの理解が重要になります。
地学分野・・・火山、地震、地層、天気、天体など
植物・生物分野・・・植物、人体、遺伝など
化学分野・・・参加、還元、気体の性質、イオンなど
物理分野・・・電気・電流、力・エネルギーなど
分野ごとに理解しているかが重要ですので、数学や英語と比べて積み重ねが必ずしも重要というわけではありません。考えようによっては単元ごとの克服をすることで十分高得点を狙える科目です。まだまだ逆転が狙えるので、基礎知識を身に付けたうえで問題慣れをしていきましょう。ただし、基本的な知識がないと戦えませんので、まずは暗記をしっかり行ってください。
大問構成は6つです。
大問1は各単元の基本問題
大問2は各単元の基本問題をレポート、対話形式に出題
大問3は地学分野
大問4は植物、生物分野
大問5は化学分野
大問6は物理分野
社会と同じく「完全回答」を求める問題が半分程度を占めているのが注目すべき点です。
大問ごとに出た問題を約10年分まとめました。

もちろん受験にヤマを張るのは危険ですが、傾向としてつかんでおくとよいと思います。昨年も予測しましたが、大問6は中2範囲の電気分野と中3範囲の力が交互に出題されています。2020年度と2021年度がともに電気分野だったのは、コロナの影響で中3の力分野が入試範囲から削除されたからです。その他は交互に出ているようですね。もちろん、繰り返しますが受験にヤマを張るのは危険ですし、何が出ても正答できる実力を付けておくことが重要ですけど・・・。
平均点の推移は以下の通りです。
2024年度 66.8点
2023年度 59.4点
2022年度 61.4点
2021年度 47.8点
2020年度 53.4点
極端に点数が変動していますので、難しいと思っても最後まであきらめないで取り組んでくださいね。あなたが難しいと感じたものは周りのみんなも難しいと感じているはずですから。
では、だいぶ時間も経ちましたので一旦ここで休憩を入れたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
<続く>
次回は10月25日更新予定です。


コメント