【メンタルヘルス自己分析6】四十にして迷う(フロイトの「心の構造論」)

メンタルマネジメント

自己アセスメントの手順を確認します

1、身体的な疾患、加齢を考える

2、精神的な疾患を確認する

3、心の問題を確認する

4、生活環境を考える

5、ライフステージの発達課題を考える

6、自我機能から考える

 

<6、自我機能から考える>

心の構造について、ウィーンの医師フロイト(1856~1939)は次のように述べています。

 

心のモデル(構造論)

人の心は「超自我」「イド」「自我」からなっている。 

 

・「イド」= 本能的、衝動的なエネルギーの源

無意識な欲望のエネルギー(リビドー)の貯蔵庫。

ひたすら欲求を満たすことを追求します。

ここを支配しているのは欲求が満たされたときに快感を得、これを反復体験したいという心の原則である「快楽原則」です。

 

・「自我」= 現実に即してイドの本能的な欲求を抑制、解放をコントロールし、うまく外的現実(社会)と「イド」「超自我」を融和させる調整役

ここを支配しているのは、直接的な欲動を現実に適した方法で充足させようとする心の原則である「現実原則」です。

 

・「超自我」= 自分自身の内面が欲求を抑制し、禁止する道徳的意識。子どもの頃に植え付けられた倫理観などの規範から成ります。

不道徳な欲求を抑圧し「自我」がイドを制御するやり方を検閲しています。

ここを支配しているのは、やってはいけないことを制する心の原則である「道徳原則」です。

 

例えば、受験生は合格のために勉強する必要があります。

「勉強するべし!」という道徳的な超自我」があります。

それに対して「遊びたい」という欲求の塊である「イドが顔をのぞかせることがあります。

最終的にその欲求を、「受験生は勉強しなければいけないから」という外的現実(目標、世間体、親、友人など)との兼ね合いを考え、勉強に向かうのが「自我の力です。

超自我とイド、まるで天使と悪魔の脳内再生のようですね。

 

・「思い通りにいかない」というストレス

さて、ストレスフルな状態を自我機能から捉えてみましょう。

上記のような受験生の例だけでなく、人は大人になっても葛藤しています。

 

例えば就職活動を控えた大学生。

仮に彼もしくは彼女が熱心に音楽活動に取り組んでおり、本当は好きな音楽を続けたいという本能(イド)があったとします。

しかしそうはさせてもらえない現実と格闘する必要が出てきます。

それは自分の才能の限界を感じた、周りの音楽者と比べて劣等感を抱いた、といった自分自身との葛藤もあるかもしれません。

また理解のない親や親族からの就職の圧力(超自我)、大学を卒業したら就職するべきだという社会的な力動、音楽で食っていくのは厳しいという一般論(外的現実)に苦しめられるかもしれません。

自分としてはもう少し音楽の可能性を探りたいけれど、そういった社会的な常識やルールなどを考え、就職活動(自我)した場合、彼もしくは彼女の心には晴れやかなものは生まれないでしょう。

 

例えば世のため人のためになるサービスや製品を扱って社会貢献をした(イド)くても、現実には毎月のノルマに追われて(超自我)半ば強引な営業をせざるを得ない(自我)セールスパーソン。

 

例えば自分が売り上げを上げることにやりがいを感じている(イド)のに部下やチームのことを考えなければならない(超自我、外的現実)ためマネジメント業務に専念(自我)する管理職。

 

「本当は」こうしたいんだけど、どこか妥協して手を打つ。こんな悩みを抱えている大人は多いのではないでしょうか。孔子は「四十にして迷わず」と言ったそうですが、現実はその時々の課題に応じて、いくつになっても迷い、悩んでいるものなのかもしれません。

 

・防衛機制

意識として受け入れが困難なことに直面すると、自我が意識に受け入れ可能な形で処理する心のはたらきを「防衛機制」といいます。

例えば会社で上司に理不尽な要求を突き付けられたことで上司に対して怒りや嫌悪を感じても、仕事を進めるためには普段通り接しなければなりません。上司に対する負の感情を意識の外に押し出してふるまうことを「大人な対応」などといいますが、防衛機制ではそのような心のはたらきを「抑制」と呼びます。

人は誰でもストレスに対して何かしらの防衛機制を働かせているものです。しかしストレスがあまりにも強いとその防衛機制が適応的とはいえない状態で生じます。この状態が心身の異常という形で現れることがあります。

防衛機制に関しては次回見ていきましょう。

 

次回は4月6日更新予定です。

 

<本コーナーの対象と目的>

このコーナーでは、心身の不調を感じている方が自身の状態をセルフチェックするための手法をお伝えします。これからお話するのは、これまでごく一般的に(「一般的」の定義も難しいですが)生活してきたが心身の不調を感じている、18歳以上の成人の方を対象とします。

その方々が自身の不調の原因を自分で探るための心理学的な知識、自分と向き合い心を軽くするためのキャリア理論、心理学的な理論などをお伝えし、「自助」ができる手段を示すことが目的です。

あくまでも環境や役割の変化をきっかけに心身に不調をきたしている方が、自分でその原因や状態を分析する「自己アセスメント」の手法と、理論や考え方を身に付けて心身の不調と向き合うための「自助」をアシストすることを目的としますので身体的、精神的疾患が疑われる場合は必ず医療機関を受診してください。

 

 

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