フロイトの「防衛機制」を取り上げています。個人が「こうありたい」「こうなりたい」と思いながら外界からのストレス(厳しい親や世間体など)にさらされたときに、心を守るために起こす行為のことをいいます。大きく分けて以下のように分類できます。
・良い防衛機制=こちらでお話ししている防衛機制が使えている状態は、メンタルも良好。
・神経症的防衛機制=こちらでお話ししている防衛機制を頻繁に使ったり柔軟性を失ったりしている場合はメンタルヘルスの問題が出てくる可能性があります。
・未熟な防衛機制=パーソナリティ障害の診断基準に見られるものが含まれますので注意が必要です。
・精神病的防衛機制=精神病発症の疑いがある行為。
<未熟な防衛機制>
「防衛機制」とは自分の自我を守るため、防衛するために用いている心の動きですが、対人関係を破壊したり社会生活に破綻をきたす結果となったりするものが「未熟な防衛機制」です。
「受動攻撃」=自分が被害者になることで他者が加害者であるとして現実を認識すること。怒りを直接的にぶつけるのではなく相手を困らせる行為で反抗して見せたり、ため息や皮肉などで表現したりすること。
例えば、軽く注意されただけで「ご期待に応えられなくて申し訳ありません。私など役立たずなので消えてしまえばいいんですね」というような発言をする方。注意した方に罪悪感を抱かせる行為です。
また頼まれた仕事が嫌な場合、わざと遅らせたり真剣に取り組まなかったりすることも一例です。
これらの原因はいくつか考えられます。1つは生い立ち。厳しい親になかなか自分の意見を言えずその対抗手段として身に付けた行為である可能性があります。2つ目は反抗が許されない環境での生活。校則が厳しく教師の圧力も強い学校や上が絶対的な権力を持っている会社組織などで育った場合、自分の感情を守るために身に付けたのかもしれません。3つ目は性格的に。他者に対して積極的に意見を言えない場合の対抗手段として発動している可能性があります。
自分が受動攻撃をしているかもしれない、と感じたらこれらを振り返ってみるのも良いかもしれません。
「行動化」=社会に受け入れられない欲求や願望を、社会的なレベルで吟味することなく無意識のままに行動すること。
自傷行為、摂食障害、性依存、暴言、暴力などが挙げられます。いわゆる「八つ当たり」をしているような状況でもあります。社会的には受け入れられがたい行為ですが、これらの行動をなぜ起こしてしまうのか、心の奥に潜んでいる「回避したいこと」を冷静に見つけられるとよいのですが。
「投影」=自分の中に存在すると受け入れられないような感情や葛藤を、他者の中に存在しているものと感じること。あるいは他者がその感情を自分に向けていると感じること。
例えば、仕事がうまくいかずイライラしていると、周りの人からもイライラされているのでは、と心配になること。
心の構造論で例えると、仕事がうまくいかずにイライラしている本能(無意識、イド)があります。それに対して「完璧に仕事をこなさなければいけない」や「これくらいの仕事は出来て当たり前だ」という超自我がせめぎ合います。すると「仕事がうまくいかない」という現実は「自我」を脅かす現象となります。そこで、「イライラしている」という負の現象を他人への投影=他者のものにします。よって「周りから」イライラされていると置き換えることで自分の心を守っているのです。
本当は自分がAさんを嫌っているのに、「Aさんが私を嫌っている」と無意識のうちに思ってしまうことにも通じるものです。
繰り返しになりますが思い通りにならない現実があるので自分の心を守るのが「防衛機制」であり、あくまでも「防衛」です。何を防衛しているのかを自分自身で振り返ることができれば、という視点でこれらの心理用語をご紹介しています。
「理想化と脱価値化」=他者に対して実際以上の資質や価値を抱くこと(理想化)と、それが幻想だったと気づいたときに相手を批判(脱価値化)すること。
「こんな完璧な人はいない」と上司を理想化していたが、狙っていたプロジェクトリーダーの座をその上司が同僚を指名したとたん、「あの上司は見る目がない!」とこき下ろすこと。
ちなみに女優の芦田愛菜さんが映画の完成報告イベントで「信じるってどういうことだと思いますか?」と問われた際の答えが秀逸すぎると一時期SNSなどで話題になっていました。
「「裏切られた」とか「期待していたのに」とか言うけれど、別にそれはその人が裏切ったわけではなくて、その人の見えなかった部分が見えただけで。その見えなかった部分が見えた時に、「それもその人なんだ」と受け止められる揺るがない自分がいるというのが「信じること」なのかなって」(ORICON NEWS)
この当時芦田愛菜御年16歳・・・。
未熟な人間観で心をささくれ立たせている場合ではないなあと考えさせられます。
次回は4月27日更新予定です。
<本コーナーの対象と目的>
このコーナーでは、心身の不調を感じている方が自身の状態をセルフチェックするための手法をお伝えします。これからお話するのは、これまでごく一般的に(「一般的」の定義も難しいですが)生活してきたが心身の不調を感じている、18歳以上の成人の方を対象とします。
その方々が自身の不調の原因を自分で探るための心理学的な知識、自分と向き合い心を軽くするためのキャリア理論、心理学的な理論などをお伝えし、「自助」ができる手段を示すことが目的です。
あくまでも環境や役割の変化をきっかけに心身に不調をきたしている方が、自分でその原因や状態を分析する「自己アセスメント」の手法と、理論や考え方を身に付けて心身の不調と向き合うための「自助」をアシストすることを目的としますので身体的、精神的疾患が疑われる場合は必ず医療機関を受診してください。


コメント